2011年5月7日土曜日

食中毒事件に思うこと

ひさびさにまた病原性大腸菌による食中毒事件が起きた。

今回は焼肉屋で出された生肉料理のユッケ(→自分は食べたことがない)が原因らしい。

どうやら最近こうした生肉食がちょっとしたブームのようだ。
だが魚の刺身や馬刺しなどを除けば、従来の日本人には牛の肉を生で食べるという習慣はなかったはずだ。
いまは何でも金さえ払えば口に入る世の中だが、食習慣というのはじつはとても保守的だ

事件としては肉の流通過程や提供した焼肉店の衛生管理がもちろん問題視されようが、全体として不慣れな生肉食の“扱い”が軽すぎた感じがしている。

厚労省の生食用肉の衛生基準自体、O‐157の事件をきっかけにして1998年にやっと定まったものである。
生食用肉”の表示も強制ではない。
したがって流通段階での配慮が欠ける危険性が大きい。
その流れで無造作な扱いのまま、今回のような低価格を売りにした外食チェーンでは当然調理の手間を省く(今回はトリミングという、肉の表面を削ぎ落とす作業を省いていた。“もったいない”という理由かららしい~料亭吉兆伊勢の赤福、皆同じことを言う)ので、客は雑な扱いの危険な料理を食べさせられることになる。

われわれ一般消費者はまず値段で商品を吟味できるはずである。
だがデフレの世の中ですっかり勘を失ったせいで、何でもかんでも安けりゃいいと思い込んでしまっている。
とくに口に入るものの場合のリスクの高さには本当に無頓着だ。

有名店の看板を信頼したのかもしれない。
だから事故に遭った人たちは一方的な被害者だろう。

だが食は生命に直結するデリケートな営みだ。

たとえ一食の食事でも。

韓国料理のユッケは韓国の人たちにとっては気候風土に合致したなんらかの必然性のある食べ物かもしれないが、日本人にはまだまだ未開拓の食である。

社会全体が不慣れな、いわばバーチャルな食だ。


つくづく食をナメてはいけないと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿