2011年2月2日水曜日

インゲン豆を守る人々

先日テレビで、北海道の開拓農民が在来種の豆を今でも大切に守っているという話を見ました。
その豆というのが金時豆うずら豆などで、じつは皆インゲン豆の仲間なんですね。
以前ウチの畑で作ったインゲン豆のことを書きましたが、あれはサヤごと食べる“さやいんげん”でした。

金時豆(アメリカではキドニービーンズに近いのかな)は、かつてよく煮て食べたりしてすっかりなじみのつもりでいましたが、畑では他のインゲン豆と変わらない風情で意外でした。
もっと丈が高くて面倒なイメージでしたが、あれなら畑で作ってみればよかった。乾燥豆にして保存も利くし。

在来種の豆類は大量生産に向かず、わりと小規模の畑地で細々と作り続けられているようですが、北海道で90%近くを作っているそうです。
たしか粟・稗・黍なんかの雑穀類も、岩手あたりでやはり細々と作られていると聞いたことがあります。
こういった在来の貴重な作物や種をどうやって守り継いでいくかということで、そもそも種は保存にも限度があるため、一定量を作り続けなければ絶えてしまいます。
今では各地の施設でそうした貴重種の栽培・保存をしていて、一般の愛好家の支援(各家庭菜園で作り継いでいる)などもあるようです。

いま各地の伝統野菜も見直されてきていますが、ではなぜそういったものが市場から消えていたのでしょうか?

豆類は畑に窒素分を集めるので、他の作物との輪作に欠かせないものだったし、雑穀も米の不作時の救荒作物として一般的だったはずです。
本来土地に合った多様な作物を並行して作るというのが日本の農業の自然なあり方だったはずなのに(お百姓さんですね)、いつしか単一の作物を毎年同じ場所に作り続ける主産地生産が定着して、経済効率に合わない昔ながらの作物は日本中から駆逐されてしまいました。
これだと当然畑が年々荒れていくため、土壌改良のため多肥料投入、農薬散布ということにもつながります。

在来種の豆は日本全国どこでも作れそうなのに、なんだか北海道1ヶ所に追いやられているように見えました。
テレビに出た農家の老夫婦は、かつて米が作れず豆で飢えをしのいできた思い入れもあって、あくまで自家用に大切に作り続けているとのことでした。

住む土地に根を張ったうらやましい生き方です。

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