映画“幸せの経済学”を見た。
中で印象的だったのは、デトロイトで主要産業の自動車工場がリーマンショック後軒並み撤退した後、仕事を失って食べるに困った住民たちがとにかく身近な土を耕し、食べ物を自分らで作ることから始めたというエピソードだった。
そして住民どうし互いに作物を分けあい助けあうということが自然と行われるようになったという。
キューバでも冷戦終結後、ソ連からの経済援助が途絶え、アメリカからは経済封鎖されるという絶体絶命の状況下で、国を挙げての食料生産、それもなるべく金をかけずに地力を循環活用させた有機農業で食料自給体制を確立したことはあまり知られていない。
窮地に追い込まれた一地域の住民がまず考える“どうやって食べていくか”。
このシチュエーションこそが問題解決のスタートラインであり、誰もが(少なくとも精神的に)この境地に立ってまずはこの命題から動き始めることが求められている。
そしてそれぞれが生きる場としての“地域”ということを考えなければならない。
これが映画のテーマ“ローカリゼーション”、“ローカルフーズ”ということだと思う。
じつはものすごくシンプルなことなのだけど、われわれ現代人はなかなかここに立ち返ることができない。
都会生活、消費社会のaddictionは強力で、いったん染みついたら抜け出すのは非常に困難だ。
そこでデトロイトやキューバの事例は大いなるヒントになる。
危機的状況というのはある意味チャンスなのだ。
誰もがいま一度われわれの置かれた状況を正しく認識し、覚悟を決めて“降りていく(downshift)”こと。
気づいた者はいち早く故里に戻り、あるいは自分の場所を見つけて、力を抜いてやれる範囲のことをやっている。
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