2012年2月8日水曜日

とある地域の物語

昨夏以降、足繁く通っている周防大島の一地域がある。


島への橋を渡ってから30分、奥まった場所にひっそりあるのが和田の集落。
このあたりは地形上平地が少なく、米作りには適していない。
島の名物のミカン畑はここにもあるが、それ以外これといって特別なものがあるわけでもない。
(自分はまだまだ勉強不足なので何かあるのかもしれない)
それでも地域の人たちはミカンや漁業でなんとかやってきたのだろう。
この周防大島全体が昔から苦労を重ねてきた土地で、移民の島としても知られている。

そんな和田の人たちが担い手不足の地域の将来に不安を抱き、皆でなんとかしようと行動を起こした。
まずはワークミーティングをスタートさせ、いくつかのグループを作って、山と海の再生活動観光特産品作り移住促進等に取り組み始めた。

同時にホームページを立ち上げ情報発信も始める。


そして棚田保全活動支援事業の対象として、耕作放棄で荒廃した段々畑をモデル的に復元する試みもなされた。
牛二頭を借りて放牧し、約半月かけてきれいに草を食べてもらった。(山口型放牧)
牛たちが風呂桶に溜めた水を飲みながら順々に棚田を上がって草を平らげていく様子が日々サイトで報告され、(牛たちに)感心しながら見守っていた。

また別の場所では地域外からのボランティアも募って人海戦術で一斉に草刈り。

急斜面にこれから何を植える?

年も暮れる頃、移住希望者を集めて“空き家見学会”が開かれる。(参加者10名私も含む)
地域の空き家(約30軒)の持ち主に呼びかけて7軒の貸家候補が出て、皆で町巡りをしながら見て回った。

にゃるほど。

そのあと、牛たちがきれいにしてくれた棚田にて皆でタマネギの苗植えを体験。

老若男女多彩な面々

収穫時期の5月頃にふたたび皆が集い、こんどは初夏の和田を知ることになるのだろう。


年も明け、今月1日にこれまでの活動内容の報告会が開かれたので知人を誘って出席。
地域のまったり感そのままに話し合いが進む。
棚田を今後どうするか。
「菜の花植えりゃええが」
「わしゃあ、はあ、梅の木植えて子どもらーに梅もがしゃあええ思うちょるで」
「皇帝ダリアいうんがあるじゃろう。あれえ植えちゃろうか思いよる」
木や作物の話になると熱が入る。
ではそれらをどう和田の地域起こしに結びつけていくのか、のんびりムードに聞いているこちらはやや歯痒さを禁じえない。

後日、同席した知人からのメールにあのまったりした会話の一部が再現されており(上記会話内容はその雰囲気を私なりに再現)、はっと気づく。

「これでいいのだ」

われわれ他所の者が、この愛すべき一地域をなんとかしたいと気負ってみたところで、彼らには彼らなりのペースがある。
むしろあのまったり感をこそ大事にしながら、われわれがそれをじょうずに外部に伝えていけばいいのだ。
都会の人間が求めている安らぎ、つながりがじいちゃんたちの何げない会話の中に息づいている。

この和田の物語を少しずつ知ってもらいながら、こんどはその再生の物語に他所の人々があらたに加わっていく。

けっして目新しい話でもないが、ここは今それが始まったばかりだ。

山口ブログ

にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿